
うつの正体
現代では多くの人が悩んでいる「うつ」。
なぜうつ症状が体に現れるのか
なぜ心の作用がうつ症状を引き起こすのか
そしてうつっぽい症状から抜け出すにはどうしたらいいのか
人体の仕組みから、そのメカニズムを見ていきましょう
健康とストレス
健康とは
WHO(世界保健機関)での健康の定義
健康とは、単に病気や虚弱でないということだけでなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であることをいいます。
つまり、以下の4つが整っていないと健康とはいえません。
心へのストレス
・将来への不安
・過去のトラウマや後悔
・孤独感や疎外感
・自己批判
・仕事や勉強などのプレッシャー
・完璧主義
・感情や欲求の抑制
環境によるストレス
・騒音
・光や照明
・職場や学校の環境
・人間関係
・経済的な困窮
・気候の変化
・価値観の違い
ストレス
ストレスそのものをなくすことはできません。また、なくしてはいけません。ストレスは生きていくうえで必要なものでもあります。
しかし、過度なストレスは心や体を蝕んでやがては健康を害してしまいます。
ストレスの正体を知り、自分自身で対処できるようになることが大切です。
体へのストレス
・疲労や過度な運動
・睡眠不足
・怪我
・湿度や温度の急激な変化
・薬の副作用
・長時間の同じ姿勢
・加齢による機能低下
食事によるストレス
・栄養の偏り
・早食い
・アルコール
・加工食品や食品添加物
・不規則な食生活
・ダイエット
・暴飲暴食
心
体
環境
食事
うつは遺伝なのか
うつは遺伝する?
近親者などにうつ病の人がいる場合、発症リスクは高まると言われています。脳の感情のコントロールを司る「前頭前野」などに遺伝的に問題が生じている可能性があります。
大きく関わるのは
しかし、遺伝的な要素よりも、環境や生活習慣、食事などの要素の方が、うつの発症には影響が大きいと考えられています。

うつと自律神経
自律神経
ストレスが大きな影響を与える自律神経。文字通り、自律的に、意思とは関係なく働いている神経です。
呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生きていく上で欠かせない生命活動を維持する大切な神経です。
ポリヴェーガル理論とストレス
通常自律神経の反応は、交感神経系(ストレスに対して闘争か逃走反応を示す)と副交感神経系(休息と消化)の2つのタイプに分けられます。
ポリヴェーガル理論では、さらに第三のタイプの反応として「社会的関与系」が存在すると考えています。
背側迷走神経
爬虫類にも存在する古い神経系で、命に関わる危機やストレスを感じた時に働きます。体を守るため、エネルギー消費を最小限に抑えます。
・動きが止まる(フリーズ)
・血圧や心拍数が低下
・無力感やシャットダウン状態
・身体感覚の鈍麻や解離感
ポリヴェーガル理論
自律神経を大きくわけると以下のようになります。
・交感神経…主に活動する際に働く
・副交感神経…主に休息する際に働く
ポリヴェーガル理論では、副交感神経をさらに2つに分類しています。
∟腹側迷走神経
∟背側迷走神経
腹側迷走神経
哺乳類に特徴的な進化的に新しい神経系で、社会的なつながりを司ると考えられています。
異常を感じると、眉をひそめる・声のトーンを落とす・猫背になる・肩を落とす・反省しているように装う・社会的なつながりを断つ、などの反応が起こります。
うつの状態とは
ポリヴェーガル理論から考えると、うつの状態とは背側迷走神経のみが過剰に働いてしまっている状態といえます。
最終的にどうしようもなくなり、フリーズして身を守ろうとしているのです。
うつになりやすい人
うつになりやすい人
・真面目、誠実、努力家タイプ
・社会的な評価が高く、周りから順調に見えるタイプ
・自分自身への過度な期待や自己管理が厳しいタイプ
・成功体験や、何かを成し遂げた後
成功後うつになる理由
それは「幻想の中を生きているから」。
心の奥で本当に求めているものと、現実に達成する目標がずれている状態です。
実は意識の85~98%は潜在意識だと言われています。この潜在意識に嘘をつくことはできません。潜在意識と自分が意識していると思っている目標との間にズレが生じているのです。
年齢とともに空虚に
年齢を重ねると、効率や損得を優先しやすくなります。また、情熱や純粋さも失われていきます。本能的な願望よりも、社会的に正しい行動を取るようになり、どんどん本当の欲求を覆い隠していきます。
その結果、空虚な成功を繰り返すようになります。
まとめると…
本当の欲求←ズレ→表面的な欲求
ズレによって空虚感を起こし
エネルギーが低下し
うつ状態になる
エネルギーとは感情に気づくための燃料のようなもので、感情に気づけないと行動も起こせない状態になります。
成功後のうつ
成功して嬉しいはずなのに、虚無感や無気力におそわれてしまうことがあります。いわゆる「燃え尽き症候群」の状態です。
なぜ成功したのに喜びではなく虚脱感を感じてしまうのでしょうか?
成功後うつのメカニズム
頭で考えている目標と心の奥の本当の目標がずれているため、頑張っても頑張っても欲しいものが手に入らない状態です。
そのため、成し遂げるたびに、そして時間をかけるほどに、空虚感が大きくなっていきます。
空虚感が積み重なると
空虚感はエネルギーを低下させていきます。
エネルギーが低下することで無気力な状態が続きます。
うつ状態から脱却するためのエネルギーも足りません。
このエネルギー不足を早めに解決することが重要です。
うつになる2つの大きな原因
1.幻想ばかりを追って、自分の心の中の本当の欲求に気づいていないこと
2.エネルギーそのものが低下や枯渇していること
特にエネルギー不足はうつから脱却するエネルギー不足にもなるため、要注意です。
うつを予防するには
うつ予防 ~心編~
「空虚な成功」にならないために、何かを始める前にまずは自分自身に問いかけてみましょう。
・自分が本当に求めているものは何?
・なぜこれをやりたいのか?
・何が満たされれば「やってよかった」と思えるか?
うつ予防 ~体編~
うつ予防に一番おススメなのは「筋トレ」です。
筋トレをするとテストステロンというホルモンが出ます。テストステロンの低下はうつ病リスクを高める可能性があるといわれています。特に女性には重要なポイントです。
自分への問いかけ方
長期的で力を入れることほど先に自分に問いかけてみましょう。
おススメの方法は、寝る前やリラックスタイムに、先ほどの問いを手に乗せて上に投げるイメージで問いかけてみることです。
この時、過去を振り返らないようにしてください。
うつは「予防」が大切
うつになると抜け出すのは大変ですので、ならないように「予防」することが一番大切です。
日ごろから体を動かし、自分の本当の声に耳を傾けるようにしましょう。
うつから抜け出すには
うつになってしまったら
①エネルギーの回復
まずはエネルギーを回復しましょう。エネルギー不足では、感情も感じられないし行動もできません。
②自分への問い
体が元気になったら自分の本当の気持ちと向き合いましょう。
感情とは
英語で感情は「emotion」といいますが、これはe(外へ)+motion(動き)という意味です。
感情とは、体を動かし、選択し、決断するためのエネルギーなのです。
感情を取り戻す方法 ~体編~
体を動かすことで感情を取り戻しましょう。
心理学者のジェームズ=ランゲ説では「泣くから悲しくなる」と言われています。まず体が反応し、それを意識することで感情が生まれるという説です。
うつっぽくなってしまったら
自分の本当の目的は簡単にはわかりません。
うつっぽくなるというのは、「ずれ始めているよ」「立ち止まるタイミングだよ」という心と体からのサインです。その声を無視せずに、軌道 修正してみましょう。
うつ脱却に必要なもの
うつ脱却に必要なのは、何かしらの「行動」です。しかし、うつになるとエネルギーが枯渇していて行動を起こすことができません。
行動を起こすためのエネルギーの源となるのは「感情」です。
感情を取り戻す方法 ~心編~
カウンセリングによって感情を解放しましょう。涙や言葉によって、自分の感情を解放することができます。
ただし、心理的な突破口になる一方、深い痛みに触れる可能性があります。また、セラピストの力量や相性も大切です。。
うつ脱却は体から
うつになってしまったら、
①まず体を使って感情を取り戻す
②感情が戻ったら自分自身に問いかける
というステップで、うつを脱却することができます。
うつから抜け出す呼吸法
感情を取り戻す呼吸法
感情を取り戻すために、手軽に、かつ効果的に行えるのが「呼吸法」です。
誰でもでき、即効性がある安全なアプローチの方法です。
感情が「ない」わけではない
うつでは感情がないのではなく、気づけない状態になっているだけです。
エネルギー不足だと感情へのアクセスができなくなります。そこで呼吸によって酸素を補給すれば、自然と感情が戻ってきます。
呼吸は感情を感じるための燃料補給のようなものです。
3つの呼吸法を組み合わせる
エネルギー不足には、3つの呼吸法を組み合わせて行うのが効果的です。
準備の呼吸をし、エネルギーを回復させ、今ここにいることを認識する一連の呼吸法です。
呼吸法②
エネルギーを立ち上げるための呼吸法
鼻から大きく息を吸い、鼻から小刻みに短く3回「フン、フン、フン」と吐く
すべて鼻呼吸で行い、慣れてきたら息を吐ききるまで行う(20~30回)。
なぜ呼吸が大切?
呼吸は感情とつながっています。
不安や緊張時には呼吸は浅く速くなり、リラックス状態では呼吸は深くゆったりとなります。
呼吸は酸素を取り込む動作であり、呼吸が浅いと酸素不足→エネルギーが低下→無気力になっていきます。
呼吸の構造
①吸う(吸気)
気持ちを高め、交感神経が優位になる
②吐く(呼気)
リラックスし、副交感神経が優位になる
一般的な「腹式呼吸」はリラックス重視のため、うつ状態の場合無気力を強めてしまう可能性があります。
呼吸法①
バランスと安心のための呼吸
鼻から8秒息を吸う
↓
鼻から8秒息を吐く
次の呼吸のための準備運動のような位置づけ。
呼吸法③
「今ここ」へ戻るための呼吸法
鼻から大きく息を吸ったのち、言葉をのせてゆっくり吐き出す
自分の名前などでOK。
ステップを踏んで治す
呼吸法からうつ脱却への道
呼吸法を行いエネルギーを貯める
↓
自分自身に問いかける
↓
毎日できる習慣(簡単なことでOK)
↓
自己暗示・アファメーション(習慣ができたら前向きな考えを自己暗示する)
ステップを踏みながら
うつになり無気力になってしまうと、そもそもエネルギーが不足してしまい脱却するのは簡単ではありません。
まずは呼吸法からスタートして、ステップを踏みながらうつを治していきましょう。
うつでお悩みなら

うつには鍼灸治療もおすすめです。
鍼灸には、乱れた自律神経のバランスやホルモンバランスを調整する効果が期待できます。
また、リラックスを促す作用もありますので、疲れた心や体を癒す効果も期待できます。
うつになる手前、ちょっとした心や体の不調や疲れを感じた段階で施術を行うことで、うつへ進行するのを防ぐこともできます。
心や体に不調を感じたら、ぜひコリとるにご相談ください。
コリとる鍼灸整体サロン
